キリコ

殺人の追憶のキリコのネタバレレビュー・内容・結末

殺人の追憶(2003年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

個人的には『パラサイト』よりおもしろかった。
無毛症の男を探したり赤いパンツの男を追いかけるあたりはまだコメディチックなのに、どんどんシリアスに展開していく。

暴力という手段に出るとすべてが上手くいかなくなる。暴力が暴力を生んでいる。第一容疑者兼目撃者が死んだのは、元をただせばソン・ガンホたちが拷問による取調をしたせいだし、課長がすぐ暴力に走る部下を暴力によって罰したせいだし、それによってチョ刑事が酒を呑みすぎて暴れたせいだ。チョ刑事は自らの足まで失う。
それなのに、大元の暴力を発した人間(殺人者)はのうのうと生きている。

「書類は嘘をつかない」と口癖のように言っていたソ刑事が、DNA鑑定の結果を「嘘だ」と言うシーンは悲しい。
側溝とトンネルの暗闇がオーバーラップしている。


以下、
イ・ドンジン著、関谷敦子訳『ポン・ジュノ映画術 『ほえる犬は噛まない』から『パラサイト 半地下の家族』まで』(河出書房新社、2021年)を読んでの覚え書き。この本おもしろかったです。

・それぞれ目、手、足を使う刑事。
・ソン・ガンホの視線
・ソ刑事と殺人犯の印象の重なり
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