パラサイトのポン・ジュノ監督による実在する韓国の未解決事件をベースとした本作。
民主化以前の腐敗した警察組織の様相を黒ユーモアに描く裏で起こり続ける女性を標的とした猟奇的殺人事件。ラストシーンの斬れ味もさることながら、韓国ノワールの名作の名に恥じない濃厚な展開の数々に惚れ惚れとする。自分、韓国の退廃的な空間が滅茶苦茶好きなので彩度の低さによって際立つロケーションの数々が見応えあって、そういう点を踏まえても楽しかったですね。前半は汚職警官が新米の警官をドヤしつつ、軽いノリで事件の捜査にあたるのですがある場面から事件の深刻さを思い知った事で登場人物達もその陰鬱性に呑まれていくという重々しい転調が華麗。手口が残忍なそれな訳だから、まぁ、ああなるわな。未解決事件を扱っているとはいえ、作中において真相に近いそれは提示されるのだがそれが、あの衝撃的なラストカットに繋がり...現実はままならない。
