てるる

トラフィックのてるるのレビュー・感想・評価

トラフィック(2000年製作の映画)
3.8
「ボーダーライン ソルジャーズデイ」は前作を超える最高の面白さだったと思うんですけど、やはり麻薬映画のベニチオ・デル・トロを語るならコレは外せない。

アカデミー賞監督賞(スティーブン・ソダーバーグ)、助演男優賞(ベニチオ・デル・トロ)、脚色賞、編集賞と4部門も制覇してるのに何故かあまり話題にのぼらない本作。

たぶん物凄く地味だからかな。

麻薬を売る側、使う側、追う側と関わる人々を群像劇として描く。

銃撃戦や暗殺、拷問、処刑、麻薬に溺れていく少女などかなりエグいことが起きてるのに、映像や音楽が淡々としてるから凄惨な感じがしない。

実は初めて映画館で観た時は上手く入り込めなかったんだけど、「ボーダーライン」をはじめとする麻薬戦争映画を観てたらまた観たくなった。

アクション面も含めれば圧倒的に「ボーダーライン」のほうが好きだけど、今観るからこそ胸にくるものがあった。
勧善懲悪とはいかないリアル。
国が出す資金よりも、遥かに多いカネで人と情報を動かすという麻薬カルテル。

たぶん麻薬はタバコと同じで需要と供給があり、そしてそれが普通の商売ではありえないような儲けが出るなら撲滅は難しいんだろう。

そんな中でも、ベニチオ・デル・トロやドン・チードル演じる警察の覚悟と胸を打たれる。
綺麗事だけでは戦えない現実を理解したうえで、自らの手を汚しながらも正義を貫く。
ラストで見せる彼らの表情が素晴らしい。

「ボーダーライン」のデル・トロは、この映画のキャラの「その後」といってもおかしくないくらいだったな。

日本の芸能界にもドラッグは蔓延ってる。
10年くらい前、とある場所で知り合った芸能界に片足突っ込んだような人も普通にドラッグ持ってて使ってたし、こういう末端の人達が仕入れて上に流してるという構図を垣間見た。

こういう人達には是非この映画をはじめとする麻薬組織と戦う人々を描いた作品を観てもらいたいもんです。
てるる

てるる