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還って来た男のkossのレビュー・感想・評価

還って来た男(1944年製作の映画)
3.8
川島雄三のデビュー作は織田作之助原作。「わが町」に10年以上先行して、しかも脚本までオダサクが書いている。スピーディーで軽快な展開と編集は川島の資質を示す。オープニングとエンディングの口縄坂の石段での恋の予感と成就。工場の昼休みのバレーボール、電話の切り返しと田中絹代の表情の変化。見合いともう一人の女、家恋しで帰ってしまう少年と父親のサブストーリー。ほのぼのと温かく明るいが、緻密な川島がいる。

少年の父親(坂本武)が言う「人間は身体を責めて働かな嘘や」は「わが町」のベンゲットの他あやんの人生訓で、オダサクの読者はニヤッとするだろう。
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