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CURE キュアのkossのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
4.1
黒沢清の原型があふれるサイコ・サスペンス。近年のサイコパスと呼ばれる単なる人殺し映画とは水準がはるかに異なる。ホラーとしても優れた黒沢独自の領域を拓いた作品。

黒沢の原型は揺れるカーテン、窓から投げ出される人、妄想のバス車内(銀河鉄道バス)、流れる血と水、檻の中の猿、洗濯機の低音、という表象。

横移動、無人の風景に入って来る人、前面を遮る後頭部と後ろに半分の顔、という構図とカメラワーク。

メスマーを引用するXの文字と催眠連鎖の物語は恐怖を徐々に高めていき、伯楽陶二郎で説得力を確保する。見事な恐怖映画で、ラストのファミレスでの食事が安堵を思わせるが、次の瞬間、包丁を持つウェイトレスにつながるのも秀逸。
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