ブラックユーモアホフマン

愛の予感のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

愛の予感(2007年製作の映画)
4.5
めちゃくちゃストイックな映画だった……。

役者という役者は二人だけ。しかもその内の一人は監督本人。
まず二人が弁護士なのか記者なのかカウンセラーか何かなのか、画面の外の人から投げかけられる質問に答えていく顔のシーンから。
この時点で攻めてんな、と。でやっぱりこういう攻めは映画に必要だよな、と思う。

そしてひたすら喋り倒してた序盤10分ほどから打って変わってまっっったく喋らない時間が1時間以上続く。

その間とにかく繰り返し繰り返し。似た画角で似た内容。しかし少しずつ変化していく。100分かけてゆーっくり関係性に進展が出て、ようやく、二人が真正面から向き合ってお互いの顔を見られるようになる。それだけの映画。しかしあの真正面から捉えた顔のカット、鳥肌が立つ。溜めに溜めたからこそ。

そうだよな、と。作劇なんて都合のいいもの。本来、こじれた人間の関係性なんて、100分でこの程度しか変わらない。巨石を手で押して動かすようなものというか。でもそのほんの少しの変化が、感動的で、重要なんだ。

【一番好きなシーン】
ついにおかずを食べるシーン。これだけのことが、どうしてこんなに感動的なのか。