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人生、ここにあり!のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
5.0
1983年、活気溢れるミラノの労働組合員ネッロ(クラウディオ・ビジオ)は正義感が強く、労働の近代化や市場に対して情熱を傾けていた。
しかし労働組合のために出した本が型破りだとされ、所属していた組合から異動を命じられる。
ネッロが行き着いたのは、精神病院の患者たちを地域に戻し、一般の社会で暮らせるようにするというバザリア法によって閉鎖された病院の元患者たちによる協同組合だった。
しかし彼らは病院を出て自由な社会生活を送るどころか、毎日を無気力に過ごしていた。
持ち前の熱血ぶりを発揮せずにいられないネッロは彼らに、施しではなく、自ら働いてお金を稼ぐことを持ち掛ける。
みんなを集めて会議を開くが、個性豊かなメンバーたちはバラバラで、会議はなかなかまとまらない。
しかし何とか床貼りの仕事をすることが決まる。
ネッロは彼らとともにこの無謀な挑戦を始めるが、元患者たちに自分の家の床を触らせようとする人はなかなかいない。
そのうえ数少ない現場でも、組合員たちは次々に失敗する。
そんなある日、仕事現場でのアクシデントをきっかけに、彼らの人生が180度変わるようなチャンスが訪れる。
イタリアで法律によって精神病院が閉鎖された実話をもとに作られたヒューマンコメディ映画。

ネッロは、熱血漢でも精神病に対する知識が無く組合員に対する接し方に失敗しながらも、組合員のやる気を起こさせるために、組合員の要求や意見を受け入れ話し合いをしたりなど工夫をしながらも、組合員に自信をつけさせるべく、組合員に過剰な保護的な姿勢をする医師や精神病に無理解な世間など戦いながら、少しずつ組合員の個性に合わせた仕事を割り当て、世間に認められていく展開がリアルに描いていて、日本の状況と比較して考えさせる内容です。
精神科医が状態が良くなっている患者に対して、投薬を減らすことを渋る姿勢のある医師のせいで、普通の日常生活をおくり難い現実があることなどの実態もちゃんと描いていて、精神科医や作業所や精神病の当事者にも見てもらいたい内容のヒューマンコメディ映画。
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