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歓びの毒牙(きば)のSのネタバレレビュー・内容・結末

歓びの毒牙(きば)(1969年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

イタリアン・ホラーの帝王、ダリオ・アルジェントの原点となる監督デビュー作。

フレデリック・ブラウンの古典推理小説「通り魔」を元にアルジェントが、脚本化し監督を務めた。
撮影監督はヴィットリオ・ストラーロと、音楽はエンニオ・モリコーネと、気鋭の処女作とは思えぬ大物スタッフが集結。


美女猟奇殺人が続発するローマに滞在する、若き米人作家サム(トニー・ムサンテ)は、夜の画廊でナイフを手に揉み合う2人の人影を目撃する。
サムの出現で現場から黒いコートの人物が逃走し、腹部に傷を負った美女モニカ(エヴァ・レンツィ)が残され、彼女は4人目の犠牲者になりかけたのだった。
事件の参考人として警察に帰国を足止めされたサムは、作家特有の探求心から独自の調査を開始する。

最初に犯人が登場していながら、なかなか真犯人に辿り付けない構造となっており、二転三転していくプロットに引き込まれる。
大きな彫刻だらけの画廊の迫力や、牧歌的かつ不気味な絵画や、アクの強い登場人物たちなど総じてインパクトがある。

『サスペリア』のような極彩色はまだ見られない上、画質も良くないのだが、斬新な構図と奔放なカメラワーク、ヒッチコックを彷彿とさせるナイフに対するフェティシズムなど、全編にアルジェント節が炸裂している。
モリコーネのテーマ曲も『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)を想起するスコアで、モリコーネらしさはあまり感じない。

2022/04/18 DVD
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