しゅん

忘れられた人々のしゅんのレビュー・感想・評価

忘れられた人々(1950年製作の映画)
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たとえば、『自転車泥棒』を観るとその悲惨さにつらい気持ちになる(故にできればあまり見返したくない)のに対し、起きてることはデシーカの有名作に比べて遥かに悲惨で救いのない本作を観ると何故こんなに「面白い」という気持ちが先行するのか。ハイボが登場する時の空気の変化、スローモーションの悪夢、カメラに投げつける卵、農学校への皮肉、盲目音楽家オヤジが最後に見えるゲスさ。その全てに、快楽を生み出す力がある。一番最後の、親と子の残酷なすれ違い、そこからの長すぎる下り坂すらも快楽的。ほんとに胸糞悪い最低のことしか起きてないのにこの気持ちは一体なんなんだろう。

気になったこと。ペドロの髪型の変化、カットが2回変わるときの速度、度々登場する大きな石、農学校の有志鉄線(かな?境界の印象)。
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