一人旅

ニッケルオデオンの一人旅のレビュー・感想・評価

ニッケルオデオン(1976年製作の映画)
4.0
ピーター・ボグダノヴィッチ監督作。

『ラスト・ショー』(71)のピーター・ボグダノヴィッチ監督が『ペーパー・ムーン』(73)のライアン&テイタム・オニール父娘を再び起用して撮り上げた作品で、映画黎明期のアメリカで映画作りに奮闘する人々の人間模様を描いています。

1910年代のアメリカを舞台に、ひょんなことから弱小映画会社に雇われて映画を監督することになった青年弁護士の奮闘を出演者&スタッフ達と織りなす悲喜こもごもの人間模様と共に描いたノスタルジックな群像喜劇で、美人女優を巡る監督と俳優の三角関係を軸にしています。

無声の短編映画が主流だった映画黎明の時代において、慣れない映画作りに没頭する人々の夢と情熱を描いて、映画という偉大な作り物の歴史とそこに関わってきた人々の様々な思いを懐古的に映し出しています。

映画撮影中に巻き起こるハプニングが愉しくて、気球に乗った役者がそのままどこかへ飛ばされてしまったり、役者と監督が大喧嘩したり…とコミカルな演出が目白押しとなっていますし、登場人物のカバンが入れ替わってしまう展開は『おかしなおかしな大追跡』(72)のセルフオマージュとなっています。また、“映画の父”D・W・グリフィスの『國民の創生』(15)が公開された際の人々の熱狂ぶりも再現されています。

弁護士から監督業に転職した主人公をライアン・オニールが好演、撮影助手となった大人びた少女を娘のテイタム・オニールが演じます。また、主人公の恋敵となる俳優をバート・レイノルズが貫禄たっぷりに好演しています。
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