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続・激突!/カージャックのKuutaのレビュー・感想・評価

続・激突!/カージャック(1974年製作の映画)
3.9
全く無軌道だ。ズンドコ犯罪紀行。なめらかに罪を重ね、おおらかに受け入れる市民たち。ヒッチコックと西部劇とニューシネマを引用しつつ、ジョーズ以降の新時代の娯楽性、スピルバーグらしさがこぼれ出ていて楽しい。

地平線が美しい映画。ヴィルモス・ジグモンドが、荒野を疾走する車を丁寧に捉えている。「FORD」が大写しになるスピルバーグなりの西部劇。

逮捕歴のある妻と矯正施設から脱走した夫コンビが、警官を人質にパトカーを奪い、里親に引き渡された子供を取り返しにいく実話。

キャンピングカーで小休止するまでの最初の1時間が特に凄い。あれよあれよと事態が悪化し、どう見ても悪い結末しか想像できないのに、あっけらかんと笑う夫婦。勢いに押されるまま2人への理解を深めていく警官。拳銃持って逃走しているのに「頑張るのよ」と駆け寄る住民たち。

ドライブインシアターで見るアニメに自らの運命を悟る夫、ガラス越しに映像と顔が重なる演出は若干あざとい。自警団みたいなテキサスの馬鹿どもが、穏やかな映画のトーンをぶち壊しながら大暴れするのが笑える。
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