くりふ

庭園のくりふのレビュー・感想・評価

庭園(1968年製作の映画)
3.5
【顔のある柵】

シュヴァちゃん初期の、アニメ無し直球ナラティヴな短編だが、行間、というか映像を読むつくりですね。

原作タイトルは“生垣”だそうな。見た目直球でいいのに、映画では変えたのがフシギ。一発ギャグみたいに映えるwからだろうか?

原作の方は未読だが、映画から逆算で、どんな小説かが想像できて愉しい。あー“彼”の独白だろうな…オモロそうだなと。

映画での“彼”は、要の行動に移る動機を決して語らない。しかし言わぬが要で、オモロいところ。

寡黙な映画だからこそ刺激される想像力。やたら言葉で説明したがる“副音声映画”より私はコッチ。志が高いと感じますね。

で、突如訪れる“彼”の“転向”に何を見るか?

社会主義国の抑圧は当然、根底にあるでしょうが…それのみに留まらない、黒い余白が染み広がります。

人間は自由より、怠惰を選ぶってコトもあるからね。その方が上っ面はラクだから。

シンプル&ディープな短篇凶器でした。

<2024.2.15記>
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