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ロープの3103のネタバレレビュー・内容・結末

ロープ(1948年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【感想】
ニーチェの超人思想(=弱者はルサンチマン(他責)によって強者を貶める)を都合よく解釈したブランドンとフィリップによってロープで殺されたデイヴィッド。しかし殺しを実行できる自分を強者、殺しを実行できない先生と、デイヴィッドを弱者とみなしたブランドンの恣意性をあぶり出した作品。結局、殺しを実行しなかった倫理観を持つ先生こそ正しいというメッセージが込められてるのか。撮影技法がワンカット風で、時々自然な暗転を挟むことによって、技術的制約も乗り越えている。ヒッチコックによって精密に計算されたカメラワークやキャストの動線は、まさにコンティニュイティ編集に重きを置いた古典的ハリウッド映画的であった。とはいえ、切り返しがなく、感情移入する余地がないので、初期映画のように露出症的ともいえよう。自惚れによって自分の首を絞める結果となったブランドンはなんとも愚かである。ブランドンとフィリップの同性愛を仄めかす内容は、「真夜中のパーティ」などニューハリウッドに引き継がれ、「フィラデルフィア」、「ブロークバックマウンテン」、「ミルク」に至るジェンダー的観点からも考察可能である。

【内容】
街並みのロング
カメラが回転し後ろを向く
アパートの窓(カーテンの閉まった窓)
男の悲鳴
ショット変わり男がロープで殺されている現場
正面からなので窓をカメラがすり抜けたという感覚はない
棺桶に入れる2人組の男
カーテンを開ける
→外の景色が絵画みたい
☆スタジオのセット?
机の引き出しの奥に犯行に使った手袋隠す
完全犯罪
フィリップはおどおどしている(女型の想定?)
「君はいつも僕を脅かしている、それが君の魅力だけど」→男性同性愛の匂わせ
2人の間の共通の秘密=殺し
ワンカット(風)ゆえずっとミディアムショット
→会話劇が中心
死体がある中で死んだデイヴィッドの両親を招きパーティー
殺しは芸術だと語るブランドン
ブランドンがロープを家政婦から隠す
勝手に開閉するドアでロープを台所の引き出しに隠すさまが見え隠れする
閉まったドアがまた開いた時、料理を持って自然と出てくる
殺しを実行できるか否かが凄さの基準のブランドン
棺桶の上に料理
殺される候補だったのケネス来る
ケネスの元カノでデイヴィッドの彼女のジャネットも来る
空間をショットで区切ることなく、歩くのに合わせてカメラもトラッキングし、うまく使っている
ジャネットがケネスがいることを知り、締め殺すわよとブランドンに言うシーン
デイヴィッドら4人の中学時代の先生も招く
先生は、殺人は限られたものにとっては特権だと考えているそう
その先生を崇拝しているブランドン
デイヴィッドの父と叔母も来る
グラスが割れて手から血が出ているフィリップ
デイヴィッドが最後に使ったグラスをわざと割った?
デイヴィッドの不在を悟られないように、さりげなく電話を妨害させるブランドン
叔母に手相を見られ、この手で殺したのかと自分を心の中で責めるフィリップ
先生が来て興奮するブランドン
→やはり今でも崇拝している
ヤドリギの枝という童話が好きだった
これはふざけてチェストに隠れたら50年間開かずのままで白骨で見つかったという話
バーグマン(ロッセリーニの妻)とかケイリーグラント(赤ちゃん教育、北北西に進路を取れ)の名前
カーテンから見える景色、煙が上がっているので本当にロケーション?
鶏の首を絞めた経験から鶏を食べれなくなったフィリップ
殺しの方法について語る先生
そのあと殺しは芸術なのだと熱弁
殺しの特権が与えられるのは他よりも優れた人間だけだと
面白おかしく聞くみんな
☆会話の流れに合わせてカメラがパン
→コンティニュイティ編集
善悪の概念は凡人のためのもの
ニーチェの超人主義
ヒトラーの優生思想

ケネスがジャネットをふっていた
リビング、玄関、ダイニングと前景、中景、後景に(ディープフォーカスではない?)
服に近づき暗転の代わり
→フィルムが切れたから?
動線も計算
 
2人をくっつけようとするブランドンに不信感を抱くジャネットとケネス
家政婦が先生に不審な点を伝えると先生も疑りだす
ピアノを弾きながら先生に詰められるフィリップ
メトロノームも
→インの音

初版本を父に渡すブランドン
その本たちをあのロープで括ってる

チェストの食事を片付ける家政婦
チェストの中に本をしまいかける家政婦と先生
それを止めるブランドン
話している人(もしくは重要な行動をしている人)にカメラの支配権が移る
みんな帰る
最後に先生が帰ろうとした時に家政婦が間違えて違う帽子を渡す
そこにはDKという文字
→デイヴィッドのD
察する先生
だが帰る

外の景色はちゃんと暗くなってる
全てが終わったら一緒に休暇をとってどこかに行こうと
→これも同性愛に近い匂わせ

また服に近寄って暗転
→フィルム替えか一旦の区切り

カーテンを閉めようとしたら電話が鳴る
→先生
シガレットケースを忘れたという口実で来る
シガレットケースをさりげなく置き、本当に忘れたように見せかける
ブランドンは核心を突かれたら殺すつもり
殺しの流れを先生の予測のもとに知る観客
→冒頭では絞められたシーンのみ
ブランドンはこのチェストに死体を隠したと言った瞬間に撃つつもり
それを察し直接は言及しない先生
この緊張
拳銃を指摘されるブランドン
ポケットからさりげなくロープを出す先生
→自前?それとも回収した?
それをみて気が動転し銃で殺そうとするフィリップ
取り押さえられる
チェストを開ける先生
チェストの蓋の部分でまた暗転
先生を説得し始めるブランドン
劣った人間の命はどうでもいい
君は私の言葉を殺人を正当化する論理にすり替えたと批判
手には銃
私にはそれを実行させない何かがあったんだ
→じゃあブランドンを殺しはしない?
社会がどうするか決める
窓を開け外に向かって3発発砲
→警察が来るように
外の音が聞こえてくる(窓開いてるから)
サイレンの音
その音が鳴り響くなか、酒を飲むブランドンとピアノを弱々しく弾くフィリップ
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