安堵霊タラコフスキー

ビリー・ザ・キッド/21才の生涯の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.5
サム・ペキンパーがアンゲロプロス等の長回しに懐疑的だったのとは逆にアンゲロプロスらの長回しを好む身として、ペキンパーの映画は演出が喧しくて基本的にそれほど好みではないのだけど、この作品はボブ・ディランの音楽のおかげもあって雰囲気も演出も大人しめだから嫌いじゃないどころか好きかもしれない。

ペキンパーお得意のスローモーション等の演出は勿論あるものの、それ以上にアメリカンニューシネマらしい饐えた趣や同年製作されたテレンス・マリックの地獄の逃避行のように夕陽が映える頽廃的空気が前面に出ているため心地良く全編見ていられた。

男同士の一風変わった友情が感じられる決着の風景も中々にグッときたし、朝日がじんわり照らすラストシーンも哀愁があったしで、代表作ワイルドバンチよりも個人的には気に入った作品になった。