浅野公喜

凶弾の浅野公喜のレビュー・感想・評価

凶弾(1982年製作の映画)
3.3
タレントや気象予報士として活躍するヨシズミ・イシハラのデビュー作であり、「瀬戸内シージャック事件」をベースにした当時大コケしたらしい作品。

酷評されているようですが、余り暗くならない程度に描かれる破滅の道しか残されていない青年の暴走というテーマは個人的に好きなので結構楽しめましたし、主役の演技は常に力が入っているというか、緩急があまり無いのが気になる所ですが熱演しているのは伺えますし、脇を固めるキャストが異常に豪華。そして時に理不尽な位暴力的な警官が居る一方で一部警察側や人質側にも所々犯人に同情的な人物が居る事や、少年院に入った過去の出来事の描写によって身勝手な犯行でも終盤にはもの悲しさが漂ってます。

見所は今から見れば力の入ったカーチェイス。序盤のトヨタ・コロナリフトバックがバックスピンターンを決めてびっくりします。中盤からはこれまたコロナのタクシーで階段を降りたり、パトカーも前述のターンを披露したり横転。使われるパトカーはヨシズミ・イシハラも出演していた同時期の「西部警察」のようにエンケイディッシュのホイールを履いているので同じ車両が使われた可能性大。

劇中歌がシティポップなイメージの「Last Good-bye」(By山本達彦)なのはちょっとミスマッチ感有りますがそれ故に印象に残ります。
浅野公喜

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