カトリック信仰に問題提起したことで各国で論議を引き起こし、ついにはローマ法王庁から抗議声明まで発表された問題作。女性監督アントニア・バードの第一作。
リヴァプールの教会に熱意に燃える若い司祭グレッグ(ライナス・ローチ)が着任した。しかしストレスからゲイバーに足を運び、知り合ったグレアム(ロバート・カーライル)と関係を持ってしまう。そんなある日、父親から性的虐待を受けているという少女リサが告解に訪れる。事実を知ったグレッグだが、守秘義務という現実が立ちはだかる。。。
“キリスト教信仰における同性愛の禁止”と“告解の守秘義務”に真正面から疑問を呈する一本。当時巻き起こった論議を知るといかに挑戦的な作品だったかが窺い知れる。そして根本的な問題は現在も続いている。
同性愛者の司祭であることが新聞沙汰になり誰もが見放した主人公に、最後に寄り添った先輩司祭がリベラリストだったのは当時の時代精神から考えれば必然だっただろう。しかし保守勢力が盛り返している現在のアメリカとSNS世論においては、本作への反応は当時とはまた違ったものになりそうだ。
演出はテンポよく演技も申し分ない。スキャンダラスではあるが真摯な姿勢で作られていて落としどころも感動的だった。個人的に本作のような問題提起型の映画は好み。