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無法松の一生のmatchypotterのレビュー・感想・評価

無法松の一生(1958年製作の映画)
4.1
やっぱり古き良き日本の映画を観るとなると彼を差し置いて進めない、三船敏郎。
今回は黒澤映画ではない三船敏郎を観てみる。

《クラシック映画観ようぜ》Vol.9。

これぞ、“義理と人情の男”、松五郎。
三船敏郎のまっすぐな勢いと濃さが、この松五郎というキャラクターに乗り移る。

『無法松の一生』、だから、彼が町に戻ってきてから、彼を中心に、時代の流れと共に変わる町での出来事や騒動を描く物語。

根は暴れん坊で、喧嘩っ早い男、松五郎。
笠智衆に喧嘩を仲裁されて諌められたり、話題に事欠かない男。

そんな彼が少年敏雄を救って父親の知的な陸軍大尉に気に入られるが、その大尉が死んでしまう。

そこから松五郎は何かと奥さんとその少年を気にかけてあげて面倒を見てあげるようになる。
軒先で話を聞いてあげたり、敏雄の運動会に行ってあげたり。

この運動会のシーン、好き。
“旗取りゲーム”、そういえばいつしか運動会で見なくなった。まぁ、明らかに怪我覚悟のパワープレイ競技だから今の時代にはまったく合ってないのは明らかだが、改めて見ると迫力あっていいな、危ないけど、楽しそう。

そこで奥さんと敏雄の心を掴んで、2人の生活に寄り添うようになり、距離が近付いていく。
だけども、そこは“無法松”、松五郎。

一線を越えるわけでもなく、ただただ、この2人家族と町の喧騒に寄り添う男。

“義理と人情”、若くても、歳を重ねても、その気質は変わらず。
“喧嘩”と“祭り”が体の中にあるような男。

後半の祭りの“祇園太鼓”のシーン。なんか、男として、鳥肌立つような勇ましさ。

それでいて、年甲斐もなく、いい年して奥さんを目の前にしておどおどしたりして。

陸軍大尉のことを思い、彼に対する義理を貫かんとする『無法松の一生』。

季節を越え、年を超え。
その経年、歳の重ね方をしっかりと三船敏郎が演じ切る、、、スゴみ。

回想シーンになる時の画面が揺れてボケて、、、の工夫とか、写真のネガっぽい色調にしたりとか。

そこまで長くもないのに、1958年の映画として、本当に見応えがある映画。

“無法松”の生き様、男気。
山あり谷あり。決して勢いだけのその日暮らしみたいな男というわけでもなく。

明治から大正の激動を人間味溢れる“義理と人情”で生きた1人の男の物語。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
皆さん、時間がある時にでも見に来てください。
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