けまろう

緑の光線のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

緑の光線(1986年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

『緑の光線』鑑賞。初めてのロメール作品。軟派な男やそれに応じる女と交わらないようにする捻くれた矜持があり、他人(特に男性)とどうしても折り合いをつけられないデルフィーヌ。結局ひとり旅を決行することになる。「見たものは他人の心と自分の心を知ることができるようになる」というジュール・ヴェルヌの語る日没間際よ【緑の光線】の話を旅先で聞き、デルフィーヌは理想を重ねた【緑の光線】を求めるようになる。最終的に運命を感じた男性に声をかけて、漁村でふたりで【緑の光線】を見ることで終幕する。
これをハッピーエンドととるか皮肉ととるかは非常に際どいところだが、私にはウディ・アレンにも通じるような皮肉さが見えてたまらない。こうした高潔を装う者が変なこだわりを持って理想を追い求めるとき、そこには盲目性という落とし穴が潜んでいる。デルフィーヌは理想の男性を探し当てたのではなく、自分の考えを尊重する男性を求めていたにすぎない。そこに軟派性の判断指標はなく、自己陶酔にも似た形で【緑の光線】ともに男性を受け容れたデルフィーヌの姿があるのだ。
エンディングで流れる短調音楽のなんと皮肉めいたることか。
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