菅藤浩三

毒薬と老嬢の菅藤浩三のネタバレレビュー・内容・結末

毒薬と老嬢(1944年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台劇とはこういう風につくるべきという、ブラックコメディの原案を映画として制作。人間愛あふれる傑作が多いフランクキャプラ監督の異色作。1孤独な老人を救済してあげるという確信のもと12人もの連続殺人を善意で行い続けていた、罪悪感ゼロの叔母姉妹、そして、自らを大統領と勘違いしたまま死体を地下室に埋める墓堀りを手伝う弟テディ(役者はジョンアレクサンダー)。その家に何も知らずにやってきた、新婚ほやほやの演劇評論家のモーティマー(役者はケーリ―グラント)。ところが部屋に死体が隠されているのを発見し、叔母に尋ねると叔母は何のためらいもなく「地下にも11人埋めているの」と告白。モーティマーは事件を発覚させぬままでこれ以上の連続殺人をやめさせようと奔走、そんな折に、海外を流浪していたモーティマーの兄ジョナサンが整形して家に突然戻ってくる。頭のイカレタ殺人犯が家に一斉に出そろって、しっちゃかめっちゃかに話が進むのですが、とにかくテディの一発ギャグ「突撃~」と、ケーリ―グラントのオーバーな演技が見もの。話自体はテーマが精神異常は遺伝すると誤解していた時代を色濃く反映しており科学的な誤りを含んではいるんだけどね。とにかく舞台向け。
菅藤浩三

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