デニロ

縞の背広の親分衆のデニロのレビュー・感想・評価

縞の背広の親分衆(1961年製作の映画)
3.5
1961年のお正月公開。原作八住利雄、脚色柳沢類寿、監督川島雄三。

森繁、フランキー、小金治の川島トリオのドタバタ劇。これと言って大きな話はなく、1961年当時の東京の伏魔殿を背景に蠢く輩を揶揄ったりはしています。その輩のひとりを渥美清が演じていて、内海突破、有島一郎と絡むのだけれど、その二人のおチャラけ芝居には付き合わずにひとりドスを利かせる顔役を演じている。しかも結構怖いんだこれが。

南米帰りの森繁が15年振りに帰国し元の組に草鞋を脱ぐため仁義を切ると、って終戦後すぐに出国したんだ、組の親分は死に、姐さん淡島千景が看板を守っていることを知ることとなる。やくざ映画じゃないけれどちゃんと仁義を切るシーンを入れるのは、森繁が『次郎長三国志』森の石松の末裔だからだろうか。対する淡島千景も凛として美しい。

坊主のフランキー、大衆食堂の亭主小金治の森繁を思う侠客ぶりが涙ぐましく笑わせる。

とにかく川島作品らしく登場人物が沢山で楽しめます。フランキーを尻に敷くキツメの女房藤間紫がきれいです。

神保町シアター 没後10年 女優・淡島千景 にて
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