三四郎

破戒の三四郎のレビュー・感想・評価

破戒(1948年製作の映画)
3.5
冒頭から自由・平等・人権の尊重と強調される。小説・映画の舞台は明治維新後、四民平等となったはずの日本…時は明治35年。しかしその社会には江戸時代からの旧弊、根強い部落差別が続いている。映画は、GHQが強要したであろう戦後「民主主義」とも重なるものがある。
池部と桂木の月をバックにした小さな細い橋と小川のせせらぎ。このシーンがなんとも美しい綺麗な綺麗な構図だ。暗い月夜に若き男女、月の光に照らされるという、この光の当て方、すなわちライトアップがお美事!!最も気に入ったシーンだ。
洋装の若い男は一貫して嫌らしい奴だった。新しい時代を表すように洋装、スーツで髪もワックスをつけて見かけだけは教養のある紳士然としているが、中身は旧態依然。これは皮肉ではないかしら。見かけだけは新しい時代を追いかけ如何にも洒落ているが中身は旧い習慣に縛られたままの猿真似。
没落したとは言え武家出身の娘、桂木と結ばれるというのも…階級制度が撤廃された「戦後」民主主義の象徴として描かれていると私は感じた。
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