Risa

破戒のRisaのレビュー・感想・評価

破戒(1948年製作の映画)
4.0
原作 島崎藤村 『破戒』

部落出身の小学校教師・瀬川丑松は、「社会で生きていくためには自分の出自を明かしてはいけない」という父の戒めを守り生きてきた。穢多であることが周囲へバレることへの恐怖、そして今だに差別が根強く残る社会の不合理に対する煩悶。やがて学校で丑松が穢多であるとの噂が流れ……


私知らなかった、部落差別というものがどういうものであったのか。言葉しか知らなかった。学校で聞いたことのある「穢多非人」という言葉も「人間として扱われないってどういうこと?」程度の感想のみでそれ以上知ろうとしなかった。自分とは関係のない別の次元の話のように感じて。

江戸時代に確立された身分制度「士農工商」に含まれないその下にいる穢多と呼ばれる人々。明治時代に解放令が出され制度上の差別はなくなったというが人々の差別意識がなくなることは容易ではない。

部落出身であることが噂され…そしてバレ…手の裏を返すように丑松に向けられる人々の差別的な目。正直、そんなことで人を卑しむ人々こそ賎劣だと思うが、現代の感覚でこの差別意識の根深さを考えるのは難しいものがあるのかもしれない。


重々しいテーマを扱った作品ではあるが、丑松の友達・銀之助や、恋仲になるお志保の存在に救われる。
そして橋の上に佇む丑松(池部良)とお志保(桂木洋子)のツーショットのまあ美しいこと美しいこと!今時の恋愛もの見るより胸キュン。
あと後半、丑松と銀之助(宇野重吉)が手を繋ぐシーンと抱擁しながら泣くシーンは個人的に萌えました。(意味深)
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