Risa

ひまわりのRisaのレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
4.5
第二次世界大戦下のイタリア、ジョバンナとアントニオは結婚するが、やがてアントニオは厳寒のロシア戦線に送られてしまう。終戦後、消息不明となった夫を生きていると信じて疑わないジョバンナはアントニオと同じ部隊にいたという男から情報を得て、広大なロシアに夫を探しに赴く。
無事夫と再会を果たすが、戦地で記憶喪失となりそこで命を救ってくれた現地の女性と結婚して子供まで設けていたのだ。


「戦争は残酷なものだ
実に 酷いものだった
どうして…   こんなことに…」

暗闇の中で語られる終盤のアントニオの台詞。
戦争に巻き込まれ、当たり前の日常を奪われた人々の気持ちはまさにこの言葉に凝縮されているのでは。



生きているかも分からない夫を、言葉の通じない広大なロシアで探し求めるジョバンナの姿は、ひまわりの花言葉「あなただけを見つめてる」という言葉をまさに体現している。とはいえ切ないのが、戦後だと感じさせない日常生活を取り戻した色鮮やかなロシアの中で1人ポツンと戦争の中に取り残されたかのようなジョバンナの対比。ジョバンナはあまりにも哀しい太陽…



全面に映し出される印象的なひまわりのシーンは計3回。そのカメラの進行方向についての私の見解だが、①オープニングのひまわりのシーンと②ジョバンナがロシアに向かう時のひまわりのシーンは、カメラの方向が"右から左"なのに対し、③エンディングのひまわりのシーンは"左から右方向"に進む。
これはもう二度と戻ることも会うこともない2人の未来の関係を表してるのかなと思った。
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