ちろる

東京夜曲のちろるのレビュー・感想・評価

東京夜曲(1997年製作の映画)
4.1
東京夜曲というタイトルがとってもしっくりとくる。
地味だけど居心地がよくて、昔から同じ場所に住む人たちのいる東京のしっとりとした下町の商店街の空気がノスタルジック。
長い月日をかけて紡ぐ関係性は時には煩わしくもあり温かくもある。
どうでもいいことはつらつらと話せるのに、一番大切な事は、うまく伝えられない。
優しさと同情の境界線がつい曖昧になってしまう、日本人ならではの複雑な気質がこういう切ない物語が生まれていくのかもしれない。
理由はなんであれ別れたとか結婚したとかそういうすべての事は自分が出した答えなのだ。

たみさんがなにかを飲み込んだように浜中とサヨナラをした真夜中。
言葉をほぼ交わさなかった朝倉と浜中ぎ上宿商店街の入り口で交わした会釈。
瞬間大人たちにもこういう青春の一ページみたいな恋のけじめの瞬間があるというなぜだか少し嬉しくもあった。
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