デニロ

天国の門のデニロのレビュー・感想・評価

天国の門(1980年製作の映画)
3.5
公開当時もの凄く評判が悪く、しかし、『ディア・ハンター』のマイケル・チミノだから楽しみに出掛けた記憶がある。観終わった後も、何でこんなに評判が悪いんだろう、と不思議に思ったものだった。
で、何年十年振りかで再見。

映画館に行くと何と映写時間3時間半ではないか。しかも、途中休憩はない。初公開版は149分だったそうだ。

尤も、覚えていたのは冒頭のハーバードの卒業式シーンだけ。帽子をぶん投げる場面だけがこの映画で記憶していたシーンだ。南北戦争の話かと思っていた。

物語が進むにつれ、わたしのでたらめな思い込みは粉砕され、なんと、建国アメリカの別次元の内ゲバの話だった。

移民排斥。この映画を216分も観させられたら、あのアメリカ人たちはうんざりして呪いたくもなるだろう。そして149分にカットして公開したのではないか。

圧倒的な力で弱者だけをいたぶろうとする人間の自己保存。誰もがその行為を否定するが、時空を超え蔓延している。アメリカだけではなく、いたるところで。アメリカでは、自虐史観だとでも批判されたんだろうか。

ウーン。たいしてお金など掛かっているとはとても思えないが、映画は上映されるフィルムだけに現れるものでもないし、ラストの意味不明の舟か?
冒頭の淑女、物語の中の恋人、ラストの舟の中で思わせぶりに眠っている夫人、最初と最後は何なんだ?

この後怯んでしまったマイケル・チミノは、この頃何を思って映画を作っていたのだろう。

1981年製作。脚本監督マイケル・チミノ。

シネマート心斎橋 天国の門 デジタル修復完全版
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