クドゥー

ホーホケキョ となりの山田くんのクドゥーのレビュー・感想・評価

4.0
『平凡な家族というものが、どんどん遠く難しく』

古き良き日本の家族像を象徴したような山田家の生活を短編エピソードで描く高畑勲監督作品は、何気ない日常が何よりも愛おしいというテーマが響くのは今となっては昔の話で、それがいかに困難を極めることか実感するファミリーアニメーション映画の傑作。

「かぐや姫の物語」へと至る線を動かすアニメーション表現の追究によって家族という面を形成し、基本的にはお茶の間アニメのようなあるあるネタが小気味良く展開されるが、チンピラに注意しに行くことになる父の心が傷つくシーンなど時折キレたナイフをみせる。

父母と兄妹と母方の祖母という家族構成は僕からすれば全てを失うリスクの塊のようでもあるが、結婚式の挨拶にあるとおり最初から失敗する覚悟さえあれば怖いものなしであり、それが分かったところで「ケセラセラ」と歌いながら僕の元からは去って行った。
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