字幕版を鑑賞。
これ程イスラム教の『言葉』について耳に入って来る映画は初めて。
日本に暮らしていて歴史好きなら仏教的思想は自然に知識として身につくし、キリスト教だとそれこそアメリカ・ヨーロッパ映画における聖書や聖人の言葉からの引用は数限りない。
だが、イスラム教についてはイスラム教徒の生活様式や習俗(ラマダン等)を丁寧に描いた映画はあっても、その教義について詳しく描いた映画は観たことが無かったのでとても新鮮だった。
また、それだけ正面からイスラム教について描きながら、イスラム教徒の立場からの宗教映画でもイスラム教を第三者的態度から客観視するのでも無く、宗派を越えて全ての人々が希求する"祈りと赦し"の映画に迄昇華させた、ヤスミン監督の優しい視点と懐の深さが素晴らしい。