Kuuta

恐怖の足跡のKuutaのレビュー・感想・評価

恐怖の足跡(1962年製作の映画)
4.1
走るゾンビ

「あの世」表現のオンパレード。切り返されちゃいけない存在が切り返されたり、ワンカットで映り込んだり、見ていたはずが見られていたり。光と影、扉による断絶、橋からの落下と階段の昇降、生と死の境界としての水…。風呂入ってる時と車乗ってる時に魂が揺らぐのもすごく映画的だなぁと思う。

湖に浮かぶ移動遊園地=Carnival。「魂で弾く」白黒の鍵盤が生者と死者を踊らせる。「人は1人では生きられない」「神父に法を破らせる気か?」など、セリフ遊びも面白かった。向かいの男のキャラクターの適当さは、あれこそが人間的な生という事か。彼が彼女の「足」を気にする視線。演技はやや荒っぽい感じもするが、車のキーからオルガンへの繋ぎ、研磨機を擦る動きから車の移動など、編集の工夫は随所に感じられた。

色んな映画に影響を与えている傑作だが、そのタイトル(というか監督名)を挙げただけでもネタバレになるので、一切予習せずに見るのをお勧めします。82点。
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