アキ・カウリスマキ監督作品。
みんな大好き!僕も大好き!
愛しきアキ・カウリスマキ!
もう25年も前の作品ですが、ちっとも色褪せなていません。
色褪せないのには訳があります。
一才の無駄な誇張や濁りがなく、完全に純な場面だけだからだと思います。
相変わらずというか、(作品的には僕が観た作品群はこの作品の後)
この独特な世界観は、いいなあ〜
レストランの給仕長イロナと市電の運転手、夫のラウリの夫婦は、共に職を失ってしまう。
この映画は96年作ですが、80年代後半から、フィンランドは大不況に見舞われていたとのことで、この映画でもそんな社会背景を表しているそうです。
これがケン・ローチだったら、弱者に寄り添い、彼らを追い込む社会に痛烈な批判のメッセージを表すでしょう。
アキの弱者への視線も優しいです。
でも、その見せ方が実に純粋で、ミニマムな表し方に徹しています。
果たして、人って不幸な時や切羽詰まった時って、逆に言葉や態度に表れないかもしれないですね。
ここに登場するイロナ夫婦も、リストラ、廃業の先に追い討ちをかけるように不幸・不運に見舞われます。
その都度、呆然と無表情に立ち尽くします。
時には、酒やギャンブルでうさを晴らそうとして、自体を悪くしてしまいます。
でも、そんな彼らが何とも言えず、可愛いです!
そう、人はそんなに賢くありません。
人生は失敗の連続です。酒に逃げることだって、そりゃありますよね。
でも、だから、また明日から歩み始めるのです。
ポジティブなセリフや勇気づけられる音楽もありません。
でも、実に実に前向きな映画です。
ベタな言い方ですが、とてもとても勇気をもらえる、人生讃歌のステキな映画でした!