ジョン

浮き雲のジョンのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
4.4
ともに失業してしまった夫婦が逆境に立ち向かう話で、これぞカウリスマキという寂しさと温もりに満ちた物語だった。

話自体は古風というか、オーソドックスな展開や演出が続くけど、決して退屈ではなく、素朴であることの尊さに向き合わせてくれる。眠る人にそっと毛布を掛けるベタな演出も、あらゆる映画におけるベストたるものだった。

人の心や画面や音楽に豊かさを託しつつ、社会の理不尽に抗う強さを忘れない。愛は勝つ、という綺麗事をこれほど真実味をもって描ける監督はいないと思う。
ジョン

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