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ヒロシマモナムール/二十四時間の情事のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

4.0
短編「夜と霧」の戦争と忘却というテーマを発展させたようなアラン・レネ監督の長編第1作で、「去年マリエンバートで」と並ぶ代表作。
脚本はマルグリット・デュラス。
原題:Hiroshima mon amour (ヒロシマ、わが愛) (1959)

広島へ反戦映画のロケに訪れたフランス人女優が日本人建築技師と知り合い、一夜の情事に身を任せる。
彼女の意識の流れを通して、彼女の過去の戦争体験が映像化される。

時は8月6日。原水禁運動が行われているヒロシマが舞台。
アメリカ軍の原爆投下によって家族を失った日本人の技師(岡田英次)と、
ドイツ占領下のフランス、故郷ヌベールで、敵国兵(ドイツ人)の恋人を殺され、弾劾された過去を持つフランス人の女優(エマニュエル・リヴァ)の孤独な男女二人が主人公。
戦争が心の傷になっていて、生き死んでいるような二人は、共に伴侶がありながら、情事に身を任せるが、愛は過去に取り残されたまま、意識(心)はさ迷う……

「君は広島で何も見ていない…何も。
すべて見たわ……」

「あなたを忘れる。もう忘れたわ。私を見て。
イ(ヒ)・ロ・シ・マ   ヒロシマ  あなたの名前。
そう、私の名前だ。君の名前はヌベール、フランスのヌベール」

アラン・レネが人間の心の奥底に迫る、その映像感覚を堪能したい。
ジョヴァンニ・フスコとジョルジュ・ドルリューの音楽も印象的。
なお、関川秀雄の映画「ひろしま」(原爆を描いた反戦映画の力作)の一部が引用されている。
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