ちろる

ヘアーのちろるのレビュー・感想・評価

ヘアー(1979年製作の映画)
3.8
ユニークでショッキング。
エネルギッシュで華やか。
反戦ミュージカルというカテゴリーですが、なかなかほかにはない明るさと重みを兼ね備えたストーリー。
素朴な田舎の青年クロードがひょんなことからニューヨークに暮らすヒッピーの若者と出会う。
ベトナム戦争反対を突き通して自由に暮らすヒッピー達と、お国のために生命の息吹を消すかもしれない青年のかけ合わさるはずもなかった友情が、華やかでパワフルな歌とダンスとともに紡ぎ出される。
とにかくサウンドがとてもスタイリッシュでカッコいい、そしてそれを歌う役者陣の歌声はひたすらゴージャスで、ミュージカル映画好きなら是非一度おススメしたい。
マリファナやLSD、フリーセックスと悪ふざけ。
戦争に旅立つ前にありとあらゆるヒッピー文化を堪能させられて多幸感たっぷりのクロードともにこちらもヒッピー達の奔放な価値観を疑似体験できる。
怠惰と、無責任と、無知と、無鉄砲、そして反抗が、反戦とイコールになるとは思わない。だから彼らのようなヒッピーは、やはり単におしゃれカルチャーでしかないと思うのだけど、自由の国とかがげながらも貧しいものや無学なものがもてはやされるためには志願兵という形しか無いアメリカの軍国的なものに抗うためにはかれらのように自堕落になる以外なかったのかもしれない。
わたしはアメリカ国民ではないしましてやこの時代を生きていないから偉そうなことは語れない。
故にこの作品は単に善悪で語れるお話ではないのだろう。
このミュージカルを単に華やかなカルチャーの一端と見るのか、反戦メッセージと見るのかは人それぞれだけれども、なかなかの異色ミュージカルとしてご興味のあるかたは是非どうぞ。
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