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いとこ同志のSPNminacoのレビュー・感想・評価

いとこ同志(1959年製作の映画)
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パリで自堕落に享楽三昧なポール、田舎から出て来た真面目なシャルル。まずアパルトマンの部屋が独特で気になりすぎた。人が集まる吹き抜けのリビングと、2階部分に小部屋があるモールみたいな構造。そこを主な舞台に、半分くらいがパーティ場面だ。
せっかくいい感じになった彼女をしれっとシャルルから奪い、しかも勉強しないくせに試験をパスするポール。持てる者持たざる者、同じ家の中で異なる階層にいる2人。そりゃシャルルはバカバカしくてやってらんない。とはいえ、ポールもどこか虚しさを抱えてる。パーティの余興で鎖抜け芸を眺めながら、2人とも何かの鎖に繋がれた身だと思わせる。それが従兄弟同士であることだ。
シャブロルだから最終的に何か事件が起きそう…と思ったが、壁にかかった銃は最後までに発射される、これぞ「チェーホフの銃」の法則。クライマックスの構図、物言わぬ幕切れもシャブロルらしい。大勢で賑わっていた部屋に鎖が切れた2人だけ、レコードが止まり淡々と皮肉すぎる余韻が残る。
勉強してる人に「勉強ばっかしないで楽しめ」なんて言うのは、ロクなことないと思う。
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