青二歳

白蛇伝の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

白蛇伝(1958年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

78分キャラ多数なのにキャストが森繁久彌と宮城のりこ2名。ほんとかよ!って話ですが。何度聞いても信じられない…バケモノめ…(つД`)ノ
さて今作は日本初の"商業的"カラー長編アニメ映画というのが正確なのかな?長編(モノクロ)では1943年に30分越え"桃太郎の海鷲"、60分越えでは"桃太郎海の神兵"が1944年にありましたが、いづれも海軍予算なので出来たことで、30年代とかで独自資本でも日活東宝などの漫画部門でも、知る限り最長で15分のモノクロでした。
そのような中…東映社長の英断によりやっと設備機材人材という資本を集めた上で!分業によるアニメ制作が行われました〜。わーい。その意気たるやという見事な仕上がり。

だって…そもそも何故"白蛇伝"?何故中国?という話ですよ。まぁ中国の物語にしたのは日本におけるオリエンタリズム(西方だけど)がベースでしょうか。ファンタジーの舞台として中々ワクワクしちゃいますものね。妖術奇術果ては仙術ドンと来い。
で、なんで"白蛇伝"かと。これは中国の異種婚姻譚で日本でも上田秋成によって"蛇淫の性"が創作されており、本邦においても知名度はあるけれど…。子供たちにこの怪異譚このロマンスを持ってくるとは…いやはや。
日本児童アニメ史の転換点でありますが、そこには子供たちに良いものを届けたいという気概を感じますねぇ。続くのが"安寿と厨子王"だしねぇ。

ただ東映アニメ初期はディズニーに影響受けすぎて、無節操な動物の擬人化が目立つのが頂けない。今作以降たくさんステキなアニメーションが作られてゆきますが、戦後はしばらく日本のアニメ界はディズニー色の濃いものが散見しますね。戦前の方がもっと色んな手法、系統があったことを思うと残念にも感じますが、あれは作家仕事であって真似できない独自性ということでしょうか。東映アニメは分業化・商業化に意味があるのでディズニーを手本にするのはこれはこれで良かったのでしょう。
青二歳

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