かずぽん

レイダース/失われたアーク《聖櫃》のかずぽんのレビュー・感想・評価

4.0
【アクション+コメディ+サスペンス+(神話)⇒本作、連続活劇】

監督:スティーヴン・スピルバーグ(1981年・米・115分)
原案:ジョージ・ルーカス/フィリップ・カウフマン
原題:Raiders of the Lost Ark ・・・(raiderとは侵入者の意。本作では盗掘?)

新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の公開記念として、先日テレビで過去のシリーズが放送された。
本作の公開は1981年。早いもので42年が経過している。とは言え、何度見ても毎回楽しめる冒険活劇で、1999年には「アメリカ国立フィルム登録簿」に登録されている。これは後世に残す価値ありとお墨付きを頂いたようなもの。
私は何度目かの再見なので、懐かしいシーン(球体の大きな岩に追いかけられるとか…)もあったけれど、終盤で聖櫃が開けられた後のシーンは何故か覚えていなかった。インディから聖櫃を横取りした者たちが、聖櫃を守っていた怪しい精霊たちによって、一人は干からび、一人の顔はドロドロに溶けていく。インディのライバルの考古学者ベロックの頭は破裂してしまった。
この顔面ドロドロや頭部爆発のシーンは、似たようなシーンを観たことあるぞと思ったら、『スキャナーズ』と同じ特殊メイクアーティストのクリス・ウェイラスの仕事だった。

さて、冒頭に書いた拙レビューのタイトルは、ジョージ・ルーカスが作りたいと切望していた“連続活劇”の要素のこと。
“連続活劇”というのは「ヒーローが悪党と戦い、ヒロインを救出する」というのが基本らしい。強いヒーローが、いとも簡単にヒロインを助け出したのではツマラナイ。
ヒーローは勇敢にヒロイン救出に向かうも、駆け付けてみるとヒロインは危機的状況下にある(命が危うい)…が、ギリギリのところで救出に成功する。ところが一難去ってまた一難。今度は主人公が―たとえば崖から落ちそうになる。それを悪党が見下ろしていて、ヒーローを突き落とそうとするも逆に転落してしまう。こんな戦いの隙にまたヒロインは次の窮地に。。。
このように危機が連続して訪れ、その都度ヒーローの勇気と幸運、悪党の計算違いなどがあってストーリーが進んでいくのが“連続活劇”のようだ。
本作のヒーローはインディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード/当時39歳)で、ヒロインはマリオン(カレン・アレン)。これで第一の要素、クリア。
第二の要素「アクション」も、まずマリオンの父が遺した“ラーの杖飾り”を譲り受けるためにネパールのマリオンの元を訪れ、敵の放火から彼女を救出するところから始まって、カイロ、ベルリン、クレタ島へとインディの鞭一つを武器に戦う姿で彼のアクションを満喫。クリア。
「コメディ」「サスペンス」の要素も、ハラハラドキドキなのに笑いを誘うセリフや映像でクリア。「神話」の部分は、そもそもが「十戒を刻んだ石板を収めた聖櫃を見つける」という壮大な物語が根底にあり、これらの要素が上手く融合している。
また、ウィキペディアによると、カーチェイスの場面では『駅馬車(1939年)』との類似点があると指摘されているようだし、ルーカスがインタビューで『隠し砦の三悪人(1958年)』を映画(脚本)作成前に観直したと語っていたそうだ。このような過去作へのオマージュのシーンを気づける人には、もっと違った楽しみが待っているのだと思うと羨ましい。私も気づけるくらい沢山の映画を観て“楽しみ”を増やしたい。
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