かずぽん

劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説のかずぽんのレビュー・感想・評価

3.0
【アフリカ大陸に生きる三つの家族の物語】

配給:ユナイテッドシネマ
製作:NHKエンタープライズ(2018年・日本・89分)
映像提供:NHK
ナレーター:葵わかな

これまでにテレビで放送された約500本の記録映像の中から、アフリカ大陸で取材したものをピックアップ。
エンドロールでは「登場した動物たち」が紹介される。アフリカ象、オグロヌー、サバンナシマウマ、キリン、カバ、チーター、ミーアキャット、ライオン、ブチハイエナ、マンドリル、イワオオトカゲ、ハシビロコウ、ゴリラ、ヒメカメレオン、ハゲワシ、ダチョウ、イボイノシシ等。
映像ではよく見かける動物たちばかりだけれど、その中にも変わり種がいて、ヒメカメレオンは人間の大人の指先くらいの大きさしかない。ハシビロコウという鳥は、まるで置物のように何時間でもじっとして動かない。それでいて、獲物の魚が水面近くに来ると、一瞬のチャンスを逃さずに動いて魚を嘴にくわえる。

【群れから追放され、放浪の旅を続けるオスライオンのウィリアムの場合】
ライオンはメスが狩りをして、オスはメスが獲った獲物を食べる。オスの役割は群れの縄張りと家族の安全を確保することなのだ。そして、子供時代が終わりを迎えると独り立ちのためにオスは追放される。
自分の縄張りを持つには、他のライオンから奪うしかない。そのウィリアムの成長記録が綴られるが、最初の方は負けてスゴスゴと退散する姿が・・・
しかし、オスを失ったメスライオンの群れと遭遇する頃には、ウィリアムもかなり成長していた。驚いたのは、メスライオンの強かさ(したたかさ)だった。群れを率いるに相応しいオスを見極めるためにウィリアムと他のライオンを戦わせるのだ。

【右腕のないゴリラのドドの場合】
ドドは、まだ子どものゴリラだ。もっと幼い頃に母親ゴリラを群れを持たないゴリラに連れ去られ、その際、ドドは腕の肘から下を失った。木に登って木の実や葉っぱを食べることが出来ないし、他のゴリラたちのように両手をついて歩くことも出来ないのでいつも遅れがちだった。しかし、オスのパパ・ジャンティが最後尾で見守っていた。
他のゴリラたちもパパ・ジャンティを見倣って、木の上から木の実や枝をドドのために落としてやっていた。ドドの一途な姿と仲間(家族)たちのさりげない思いやりに胸が熱くなった。その数年後、ドドは自分なりのやり方で木にも登れるようになっていた。多少ぎこちないけれど、こういう逞しさは貴重だし、ドドの努力と工夫に「あっぱれ!」

【シングルマザーのメスライオン、ナイラの場合】
群れのオスライオンを失ったナイラは、6頭の子どもライオンを連れての放浪生活だった。子どもたちを飢えさせないために、狩りはナイラの腕にかかっている。狩りの間、子ライオンだけにしておくのは危険なので一緒に行動するが、やんちゃ盛りの子ライオンが無暗に狩りに参加して獲物を逃がしてしまうこともあった。
縄張りを持たないナイラたちは、水を飲むために他のライオンの縄張りに侵入する必要があり、見つかったら直ぐに引き上げるしかなかった。しかし、子ライオンたちも成長と共に学んでいるようだ。ついに、子どもたちだけで獲物を追い詰める役割と待ち伏せする役割に分かれて狩りに成功するのだ。

食べて生きる。生きるために狩りをする。それが生き物の原点なのだと再認識する。
葵わかなのナレーションも聞きやすく、お馴染みの「ヒゲじい」(声:龍田直樹)も時々登場して珍獣の紹介や解説をしてくれる。
地球の自然や生き物に興味のある方におすすめ。
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