[母と娘の対立と葛藤]
すさまじい限りだった。
娘(リブ・ウルマン)が、母(イングリッド・バーグマン)から受けた傷への恨みや憎しみを洗いざらいぶちまける。そして、それを受けた母は、自分も両親の記憶がなく、音楽だけが自分の表現方法だったと。そして、一瞬、自分は勝手な人間だった、と後悔するが、別れた後に、もう一人の障害者の娘(レナ・ニーマン)を施設に預けた罪悪感から「死ねばいいのに」と言い放つ。この娘と母のやり取りが凄まじかった。
また、娘のエヴァのリブ・ウルマンと母シャルロッテのイングリッド・バーグマンの対決が激しかった。この二人の演技力に圧倒される。この位のレベルの俳優は今は居ないのではないか。
イングリッド・バーグマンは、夫と子供を捨てて、イタリアに渡ったことあり、シャルロッテと重なってくる。バーグマンは、これが遺作となってその後に亡くなったことも感慨深い。
また、イングマール・ベルイマンも映画や演劇人として、二人の娘に良い親であったとは言い難かったらしく、シャルロッテとエヴァの関係に重なってくる。
芸術家の親と子の関係は葛藤を生んでいくことを描いている。その個人の事情も超えて普遍的なものになっていると思われる。(2018.8.13)
娘が母から受けたネグレクト的が虐待への恨みを言いつくし、母も母になれなかった言い訳をし、身も蓋もない感じがある。ベルイマンのトラウマの大きさかもと思った(2020.11.16)。