KnightsofOdessa

黒い罠のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

黒い罠(1958年製作の映画)
4.0
[中盤でやっと主人公がメキシコ人だと気付いた] 80点

大通りとそこに面した店の巨大なセットと言えば西部劇を思い浮かべるが、本作品はそれをメキシコ国境の町に設定することで現代の西部劇ノワール的世界を作り出している。有名な冒頭の爆発までの長回しを含めて、どんな距離でも車を使うのでカメラもそれに併せるように上下左右をヌルヌルと駆け巡るのが実に爽快。バーでの喧嘩シーンなど屋内でもカメラがよく動いてくれて非常に楽しい。ボグダノヴィッチが4,5回見ても忘れちゃうというくらい、内容はごちゃごちゃしてるんだが(アメリカ側のお偉方三人がいつまで経っても覚えられない)、映像はそれを上書きするくらい流麗。でも一番面白いのは冒頭でもラストでもなく、家の中でダイナマイトが見つかった瞬間にチャールトン・ヘストンがタバコを吸い出すシーン。ダイナマイトだ!→シュボッじゃないんすよ。

今回も冒頭で"ちょん切られたやつを頑張って復元しました"と出てきたんだが、ウェルズが納得してる自作ってあるのかね。あと、ジャネット・リーは撮影前に左腕を骨折していたらしく、よくよく見てみてると確かに左腕は庇っていたり隠していたりと動かしていないことが分かる。可愛い。
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