【Show,Don't tellの概念の逆行】
「セリフはできるだけ削れ、映画は映像で語るべし」
という言葉があります。
映画の起源をたどれば、
元々はサイレント映画で、セリフがなくても映像で表現できた時代がありました。
だからこそ
説明セリフに頼っている映画というのは
個人的にあまり評価できません。
(説明セリフが必要な場面やうまく説明セリフを活用してるものは除く)
一般的にセリフの役割として
・キャラクターの説明
・状況の説明
・感情の表現
・ストーリーを展開させる
・ムードやトーンを作る
といったものが挙げられます。
見せ方がうまい映画は
キャラクターや状況の説明セリフがなくとも、
映像や演技等で表現してくれます。
ですが、今作は3時間という長尺にも関わらず、
キャラクターのバックグラウンドは説明セリフで語られます。
「あいつはこうだったんだよ」
とか
「自分の過去は〜〜」
とか。
なぜ役者の演技が素晴らしいのに、その演技に頼ろうとしないのか?
この監督のセンスに疑問を感じずにいられません。
キャラクターの背景が分かる描写すらなく、
3時間というめちゃくちゃ長い上映時間の多くは一貫性のないテーマに時間が当てられます。
外国人労働者、悪徳政治家、慰安婦問題、特攻隊、自己啓発セミナー、ドラッグ、宗教・・・etc
全てのエピソードが切り貼りしたようなショートで、
そのエピソードの伏線を回収しようともしない。
監督のやりたいことをやりまくるのは勝手ですが、
散らかしたおもちゃはちゃんと片付けましょう。
そもそも3時間の映画にできるほどの内容だったのか疑問でした。