ぽん

雨に濡れた欲情のぽんのネタバレレビュー・内容・結末

雨に濡れた欲情(1953年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

サマセット・モームの『雨』が原作と聞いて興味を持ち鑑賞。
あんな陰惨なハナシをハリウッドがどう描くんだろと思ったら、なかなかの魔改造だったw ちゃんとハリウッドの金科玉条“Love conquers all”(愛はすべてに打ち勝つ)で終わる力業にビックリ。

原作は南の島に居留する宣教師と娼婦の話で、使命感に燃えて女に神を語り改心を迫っていた宣教師が、頑なだった女に信仰の目覚めが見えたとたんオトコに変貌。コトに及んだ挙句、罪悪感で自殺してしまうという救いのない物語だったと記憶している。ジメジメと蒸し暑いモンスーン気候の土地で、来る日も来る日も雨が降り続く、そんな陰鬱な環境に置かれてメンタル崩壊しちゃう宣教師の姿が、哀れだし胸糞だしでザワつくぅぅ~!というペシミストにはたまらん(?)作品なのでした。

映画の方はこれを大胆にも恋愛モノに仕立てている。宣教師は脇役、代わりにマッチョな軍曹が出てきて女に惚れこむ。女は暗い過去がありながら今は新しい生活に向って前向きに進んでいるハツラツとした魅力的な女性として描かれる。演じるリタ・ヘイワースは完全なセックスシンボルでありながら男に媚びすぎない、絶妙な猛獣使いっぷりが小気味よかった。島に上陸する冒頭からワラワラと兵隊たちに囲まれて腕つかまれたりハグされたり抱きあげられたりで、見ててハラハラしちゃったけど。断りなく触りなさんな。

人間の罪深さを抉(えぐ)る物語なのに、そこに男女の恋愛バナシを並行させる・・・ってかそっちをメインにしようとするのはやっぱりムリがあるかなーと思った。終盤の急展開とラストのノー天気さの収まりの悪さよ。なんでこんな話をリタ・ヘイワースが歌って踊る映画にしようと思ったのか謎すぎる。
ぽん

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