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女優ナナ
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『女優ナナ』に投稿された感想・評価

3.6
1955年のクリスチャン=ジャック監督作品。本名はジャック・モデ。もともと建築や美術を学んでいた彼は映画のポスターのデザインをする会社を立ち上げ、その時の出資者との共同ペンネームを映画監督になってからも使用している。1920年代には映画の美術監督として働き始め、30年代に監督業に進出している。数多くの作品を手掛けているが、代表作といえば『花咲ける騎士道(1952)』だろう。フランス映画伝統の騎士道物語をスピーディーで巧みな手さばきで演出し、フランス映画ではなかなか見られない小気味いいアクションを得意としている。この『花咲ける騎士道』で主演のジェラール・フィリップは役名のファンファンが彼の愛称となるほど印象的であった。
『女優ナナ』を作る頃はクリスチャン=ジャックは奥さんである女優マルチーヌ・キャロルとのコンビ作を連発している時期であった。そもそも本作の原作はエミール・ゾラの『ナナ』なのだが、これはすでにサイレント時代にジャン・ルノワール監督によって『女優ナナ(1925)』として映画化されている。ここで注目すべきはルノワールも当時の奥さんカトリーヌ・エスランに主人公ナナを演じさせたということだ。美貌と魔性を兼ねそろえたナナを愛する妻に演じさせるという映画史的な振る舞いはそのままヌーヴェルヴァーグの代表的存在ジャン=リュック・ゴダールに引き継がれる。ゴダールの場合『女優ナナ』を撮ったわけではないが、『女と男のいる舗道(1962)』で主人公の娼婦を演じるアンナ・カリーナを「ナナ」という役名にして過去作への目配せをしている。
 
ヴァリエテ座の支配人に見出されたナナ(マルティーヌ・キャロル)は「ヴィーナス」という演目が大ヒットしていた。歌よりも踊りよりもその天性の美貌で観客を喜ばせていたナナは、咄嗟の思いつきで本番中に衣装をかなぐり捨てるなど詰めかける男衆を魅了していた。楽屋にも多くのパトロンが現われた。30歳の誕生日だという役者のフォンタン(ヴァルテル・キアーリ)、サルディニアのプリンス(ネリオ・ベルナルディ)など色々な人がいるなかでナポレオン三世の侍従長ミュファ伯爵(シャルル・ボワイエ)も外国の貴賓の接待役としてやってくる。こうした場に慣れていないミュファは、ナナが誤ってこぼしたシャンパンを拭いたハンカチをそのまま持って帰ってしまう。翌日、ミュファは花束を贈るとともにハンカチを返しにナナを訪ねる。このハンカチの往還によってミュファの運命は大きく変わってしまうのだ。
ナナは大銀行家のスティネール(ノエル・ロクヴェール)や道楽者で競馬狂のヴァンドーヴル公爵(ジャック・カストロ)などお金のある男たちの間を渡り歩いていた。女優としてのナナしか知らないミュファはナナに熱を上げ始めるが、ナナの無軌道な私生活を理解するにはあまりにもナイーブであった。どんなことがあってもナナを信じ、愛情も金銭も惜しみなく捧げてきたミュファの我慢の限界を超えたとき、悲劇は起こる。
 
この作品はマルチーヌ・キャロルがお色気たっぷりにナナを演じている。周りの男達や彼女自身も不幸になる物語だが、天真爛漫な彼女の魅力により陽気な悲劇といった独特な趣を持つ作品だ。
 本作では美術、衣裳、化粧に最良のスタッフを集め、キャメラマンは、Christian Matrasである。彼は、本作と同年にM.オフュルス監督の下、同様のテーマの作品『歴史は女で作られる』(原作:ローラ・モンテス)を撮っている。フィルム素材は、Eastmancolorで、その濃厚・濃密な深みのある色彩は、正にこのテーマに最適である。(Technicolorは、「総天然色」の宣伝に違わず、華麗な彩色であり、『風と共に去りぬ』は、やはりこの素材でなければ、合わなかっただろう。)

 原作は、社会派の自然主義作家E.ゾラであり、彼は、第二帝政期時代のフランス社会を文学的に活写しようとし、20巻の作品でこれをまとめる。(1870年から1893年まで順次叢書として発表)その一巻が『Nana』(1879年発表)である。原作の前半はストーリーに使われているが、本作の脚本の後半は映画独自のストーリー展開となっている。

 なお、E.マネも「Nana」という題名で作品を1877年に描(か)いており、女性の個室ブドワールで、紳士が同席しているという一義的な状況で、鏡を覗きながら化粧をしている若い女がそこには描かれている。本作鑑賞前に一度この絵をご覧になるとよいであろう。