佐藤でした

ベルヴィル・ランデブーの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

ベルヴィル・ランデブー(2002年製作の映画)
3.7
戦後まもないフランス。内気で友達もできない孫のシャンピオンを不欄に思ったおばあちゃんは、テレビやピアノ、おもちゃの電車、ブルーノという名の子犬など、色々なものを買い与えますが、シャンピオンは何にも興味を示しません。
そんなある日おばあちゃんは、シャンピオンが有名な自転車選手の写真をスクラップしていることを知ります。さっそく三輪車をプレゼントすると、シャンピオンは今までに見せたことのない嬉しそうな顔で三輪車に夢中になりました。
そして三輪車は自転車に変わり、シャンピオンはいつしか世界最高峰の自転車競技の祭典、ツール・ド・フランスに参加するまでに成長します。
しかし大事なレースの最中、シャンピオンは謎のマフィアに誘拐されてしまい…。

フランスのシルヴァン・ショメ監督の長編初監督作品。デフォルメと社会風刺の効いたフレンチアニメーション。「イリュージョニスト」「ぼくを探しに」「パリ、ジュテーム」と見てきて、ショメ監督は最初からオリジナリティを大切にしてきたことがよくわかりました。今作ももれなくアクが強いです。

誘拐された孫を捜索する中で、おばあちゃんが出会うのは愉快な元ジャズシンガーの三姉妹。こちらも“おばあちゃん”と呼ばれていい御年齢ですが、文明の利器に頼ることなく、カエルのスープやオタマジャクシのポップコーンを食べて楽そうに暮らしています。捕獲?漁?の方法がとびきり豪快で残酷で、ドン引きしますよ。

それらにどんなメッセージが込められているのか、はたまた込められていないのか、一つ一つはわかりません。
でも、ほぼサイレント≒無口な映画という印象の今作は、「沈黙は金」を体現しているみたい。言葉少なで意味深でさり気ない哲学を持っていました。
佐藤でした

佐藤でした