Kuuta

ハロルドとモード/少年は虹を渡るのKuutaのレビュー・感想・評価

3.9
カルト的な人気のあるニューシネマ。生きる意味を見出せない厭世的な若者が恋に落ちる。相手の女性の年齢が80歳な点を除けば、「卒業」と似たようなプロット。

偽装自殺連発、犯罪もしまくる反骨的でブラックな笑いが印象的。引いたり固定したり、カメラの置き方が決まってるし、音楽も素敵。

ホロコーストを生き延び、山ほど死を見てきた革命家モード。見渡す限りの白い墓と、白い花。暗いハロルドの家と雑多な物が並んだカラフルなモードの家の対比。闇夜の中、指輪を捨て、花火を見るシーンが一番良かった。軍隊、親、聖職者をバカにするのは反体制的な時代感か。右腕のないマッカーサーの「右腕」。

木の置物に顔を突っ込む→母体回帰、生まれ変わり。歌も楽器も出来ないと言っていたハロルドのラスト。部外者なのに忍び込んだ葬式で出会い、次第に自由に生きる意味を教えられる展開はファイトクラブっぽい。

生きる喜びを知るということは、生きる悲しみを知ることでもある。その表裏一体の感情が、ラスト15分で交錯する。ここの畳み掛けに唸らされた。78点。
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