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十三人の刺客のmatchypotterのレビュー・感想・評価

十三人の刺客(2010年製作の映画)
3.7
《侍の映画》、Vol.15。『十三人の刺客』。

13本目に観れば良かった。

日本の製作委員会制度、複数の企業がお金を出し合って利害を分散させて資金を投じる制度。
これほどまでに多くの企業が参画する映画もなかなかないのではないか。
すごい顔ぶれと企業の数。

その周知結集した作品。
赤穂藩の赤穂浪士の吉良邸への討ち入り、多勢に少数精鋭で乗り込む戦いに近い筋書き。

この作品は明石藩。西日本の話。
徳川家斉の腹違いの弟とされる松平斉韶。
実際の歴史上はこの松平斉韶の後を継ぐ松平斉宣がやや強引に後を継いで暴君っぽかったらしい。

実際はここまでの暴君ではなかった松平斉韶だが、吾郎ちゃん、ちょっと暴君が乗り移り過ぎてておぞましい。

尋常ならざる倫理観を持つ君主。
彼が徳川家の老中に推挙されようとする江戸時代後期。
ここまでの彼の圧政と暴挙の数々に、ついに反旗を翻す侍達がお命頂戴致す。

その数、13人。
一国の主人が他勢を付き従えて参勤交代中の道すがらとはいえ、13人で立ち向かう。

この13人、この顔ぶれが、この所業を成すことを観れるだけでこの映画は価値がある。

役所広司、山田孝之、松方弘樹、沢村一樹、高岡蒼甫、六角精児、古田新太、波岡一喜、石垣祐磨、近藤公園、伊原剛志、窪田正孝、、、そして、侍ではない野人、伊勢谷友介。

この13人。刺客だけに、死角なし。
あれよあれよと1つの志の名の下に集いし獅子達。
最後の落合での死闘。圧巻。

「ざっと、、、130!」
とか言ってるけど、130どころではないのではないか。1人あたり13人どころではない大立ち回り。殺陣。

この13人のしぶとさ、強さ、生き様。

「この太平の世で、何人が刀を抜いて戦ったことがあろうか。こちらもないが、あちらもない!それが勝機だ!」

少数精鋭が、個々の力を無駄なく発揮させ、相乗効果と背水の陣とアドレナリンでそれ以上になることを証明している映画。

山田孝之、高岡蒼甫、窪田正孝、波岡一喜、この辺りがヤンキー系の作品で頭角を表した若手として抜擢されてるのが個人的にとても好き。

もちろん、吾郎ちゃんはじめ、相手方も、各所の要人も、次から次へとこの13人の顔ぶれに負けないインパクト。

日本の、江戸時代の、侍バージョンのアベンジャーズみたいな。
どんなに不利な状況でも、数に劣っていても、自分の命を投げ出しても、絶対に譲れない正義のために戦う。

その先に何があるのかわからないけど、その先が見れなくても、絶対に許せないことを阻止するために。

武士は、主君のために仕えるもの。
武士は、上司の命令は絶対。

でも、それに従うことが侍の魂か。
命を賭した一世一代の大博打、開幕。
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