さすらいの用心棒

オール・ザット・ジャズのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)
4.1
ミュージカル監督のジョー(ロイ・シャイダー)は酒と女、そしてステージに明け暮れる日々を送っていた。ある日、彼は過労のために倒れ生死をさまよってしまう─────第33回パルムドール受賞作品。

ブロードウェイで成功して、女も酒もやりたい放題、好き勝手に生きてきた演出家が、死に際になって後悔でのたうち回りながら、死ぬ。それだけの話なんだけど、どうしようもなく身につまされる。
死期を宣告されたボブ・フォッシー監督が自省と自虐を込めて製作した個人的な作品のはずなんだけど、避けられない「死」を主題にしたことで普遍性をもつまでに昇華され、さらにキレッキレのダンスに、ハイテンポな編集で、見ていて圧倒されてしまう。もうすぐ死ぬ人間がこんなパワフルな映画を撮れるのか、とも思ってしまうが、死に際だからこそこれだけの熱量で撮れたのかも知れない。
この主人公を、ざまあみろと言いながら死ぬような人生を送りたい。