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コズモナウタ - 宇宙飛行士
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『コズモナウタ - 宇宙飛行士』に投稿された感想・評価

イタリア版DVDで鑑賞。23-19。スザンナ・ニッキャレッリの長編監督デビュー作。これは掘り出し物。

1950年代末から60年代の初めにかけての時代の、衣装、ヘアメイク、自動車、小物や家具などのガジェット、さらには音楽までを、リアルだけど少しばかりおとぎ話風に再現。いわば、ひと昔まえの青春映画。ところが、物語を語る視点が現代的で、しかも女性からの視点だから新しい。たしかにノスタルジックなのだけれど、古ぼけた感じがない。

それはたとえば音楽。50年のヒット曲を使うのだけど、昔のヴァージョンそのままではなく、今のアーティストに演奏させているのだ。だから映画にピッタリハマるだけではなく、ぼくらの耳に古臭くなく、新鮮に響くわけ。みごと。

それから舞台がよい。ローマのテヴェレ川の右岸にあるトゥルッロ居住区。左岸にはエウル地区があり、トゥルッロ地区の高台からデ・キリコの絵で知られる「イタリア文明宮」(Palazzo della civiltà italiana)がちらりと見える。このあたりは、たしかベロッキオの『夜よ、こんにちは』(2003)でも使われた。もちろん有名なのはパゾリーニの『大きい鳥と小さい鳥』(1966)。

ここに最初の建築物ができたのは、第一次大戦のころの有刺鉄線工場だったという。そのころは小高い丘の草原であり、羊を放す牧草地だったわけだ。居住区(ボルガータ)の計画はファシズム時代。1939年に、ファシスト社会住宅公団 ( l'istituto autonomo fascista delle case popolari )が住宅建設に着手するのだけど、その目的は、参戦を前にしてフランス、アルジェリア、エジプト、モロッコ、チュニジアなどにいたイタリア人入植者を、帰国させるための住宅建設だったという。

こうしてできた居住区は、当初、第一次世界大戦の英雄の名前をとって「コスタンツォ・チャーノ居住区」と呼ばれたもの、戦後、イタリアが共和国となってからは、「トゥルッロ居住区」と改められ、居住区としての開発は継続し、多くの貧しい人々が流入。貧しいながらも住民に連帯感のある地区となり、現在では他民族が暮して社会的統合が進み、共同住宅の壁にはストリート・アートがみられるようになったという。

ニッキャレッリのキャスティングのとき、そんなトゥルッロ居住区にある学校の前に張り付いて、使えそうな子どもをスカウトしていったという。主役の兄弟ふたり、ルチャーナとアルトゥーロを演じた、ミリャーナ・ラスキッラー(Miriana Raschillà)とピエトロ・デル=ジューディチェ(Pietro Del Giudice)のふたりもそうだ。

とりわけ、てんかんを患う兄を演じるピエトロ・デル=ジューディチェは、ガタイがあって繊細で、監督たちは一目惚れしたという。もともとニッキャレッリが温めていた話が、そんな病気を持つ兄と妹の話だったからだ。そんな兄の妹として選ばれたミリャーナ・ラスキッラーもよい。これが素人なのかと思うような達者ぶり。

しかし、メイキングを見ると最初はみんなぎこちない。学校に通いながら、地元の仲間たちと参加した撮影現場に、徐々に馴染んでいったというわけだ。だとすれば、監督の手腕はもちろん、彼女を信用したスタッフたちのチームワークのたまもの。長編デビュー前はドキュメンタリーも手掛けてきたらしい。でもカメラを意識させずに人間を映す術だけではない。カメラにむかって、意識的に感情を表出させる術。ニッキャレッリには、それがある。なにしろ彼女は、地元に密着することで、ゲニウス・ロキを味方にしているのだ。

そしてこのゲニウス・ロキは、時代を越える。なにしろ物語は時代劇なのだ。1957年のスプートニク打ち上げにまで遡り、世界中を騒然とさせたソ連の宇宙開発の成果を、特別な思いで見守るイタリアの兄妹の物語を語ろうという。

しかし語り部のニッキャレッリは1975年生まれ。彼女にとっての宇宙開発の主役はアメリカ合衆国であり、1961年にはじまったアポロ計画であり、1968年のルイ・アームストロング船長らによる月面着陸だった。そんな彼女が、どうしてソ連のスプートニク計画を語るのか。きっかけは、モスクワに旅行したときに訪れた「宇宙飛行士記念博物館」。そこでアポロ計画以前にソ連が宇宙開発で先行していたこと、スプートニク2号のライカ犬の死(1957)、その後のスプートニク5号(1960)では犬2匹、ラット2匹、ネズミはその他の生物たちが宇宙から生還したこと、初の女性宇宙飛行士バレンティナ・テレシコワ(イタリア語ではヴァレンティーナ)のことを知る。

病気を持った兄と妹の物語に、そんなソ連の宇宙飛行士の話がからみあうとき、映画の構想が出来上がったのだと言う。だから映画のタイトルは『コズモナウタ(cosmonauta)』。宇宙飛行士のことだが、アメリカではアストロナウタ(astronauta)にという。そうではなくて、ロシアが誇りを持って使うコズモナウタ(cosmonauta)をタイトルにすることは、おそらく彼女が訪れた博物館「宇宙飛行士記念博物館」=「コズモナウタの博物館」が教えてくれたことなのだ。

ソ連とスプートニク計画と、イタリアの姉妹をつなぐのが、トゥルッロ居住区の貧しい人々。多くはカトリックなのだけど、貧しさから共産党に近づくものも多く、昔から「赤い」地区と言われていた。そして女性のこと。共産主義とはいえ、イタリアはまだまだ父権主義の地。そんなところで女性の党員になることは、そう簡単なことではない。そこをニッキャレッリはしっかりと抑えながら、女性の成長物語を語ってくれるのだからたまらない。

ともかく冒頭のシーンが良い。日本では馴染み名がないかもしれないが、教会でのプリーマ・コムニオーネ。最初の聖体拝領式。日本で言えば七五三のようなもの。子どもたちが着飾って蝋燭をかざして教会に入ってくるのだけれど、我らがルチャーナはくるりと踵を返すと、『卒業』のキャスリン・ロスよりも決然と、通りに出ると、ウェディングドレスのような白い手袋を捨て、家のトイレにはいって正装をかなぐりすてる。驚いて追いかけてきた母親が「どうしてそんなことするよの?」と叫べば、ルチャーナがどなりかえす。「だってわたしはコミュニストだから!」。それを聞いて笑う兄。兄をビンタする母。「どうして僕を?」と困りながら笑う兄。

見事なオープニングではないか。この兄と妹には大好きだった父がいた。尊敬されるコミュニストだった。その父はいない。だから兄も、妹も、コミュニストなのだ。だからこそ、スプートニクの成功に西側世界が騒然となったとき、ついに自分たちの時代が来た、そう感じたというわけだ。

トゥルッロ居住区、プリーマ・コムニオーネ、そしてスプートニクの成功。やがててんかんを発症する兄アルトゥーロと、妹ルチャーナの愛憎。その母(クラウディア・パンドルフィ)、やがて一緒になる裕福な義理の父(セルジョ・ルビーニ)との家族関係。共産党支部の青年部での青春。耳に馴染んだ50年代ポップス。なんとも幸福なデビュー作ではないか。
3.5
イタリア共産党青年部の青春物。ソ連の宇宙開発の話を背景にした、あまり見かけない新鮮な映画だった。
土偶
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イタリア映画祭オンライン、旧作もなかなか時間取れずでニッキャレッリ監督の長編一作めようやく見る。

1957年から始まるこの物語、筋金入りのコミュニストの亡き父親(戦争で亡くなったのかと勘違いするが、時系列的におかしい)とソ連の宇宙開発に憧れを持つてんかん持病のある兄貴に影響を受け共産党の青年部で活動する学校でもほぼ変人扱いの少女が主人公。
反抗期とイデオロギー武装が合わさった面倒くさいこんなタイプを主人公にするとは、なかなか目にしたことないな。幼い時はお兄ちゃんべったりだった少女が思春期を迎え、周りにいる他の異性と比べ、気がつかないうちに優劣をつけていたのだと分かる瞬間は身に覚えある人もいそうだ。