緑

神々の深き欲望の緑のネタバレレビュー・内容・結末

神々の深き欲望(1968年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

清潔感がどこにもない作品。(貶してない)

離れ小島のムラ社会に近代化の波が押し寄せる話。
日本神話の近親相姦と国づくりがモチーフ。

台風で屋根が飛ぶシーンは
いかにもクレーンで吊り上げた感じ。
しかし、岩が落ちるシーンは
いったいどうやったのかよくわからない。

岩を落とすために嵐寛寿郎たちが
力を入れる(物理)シーンがあり、
そんなことしたからおじいちゃんは
体を痛めてバランス崩して死んだのではと思っていたら、
最初は蛇足にしか見えなかった「五年後」で
孫から突き落として殺した発言がサラッと出てきた。
雑なのかスマートなのか判断不能。

若い頃の三國連太郎は
若い頃の佐藤浩市に似ていた。

刈谷技師がウマよりトリ子に惹かれた理由がよくわからない。
夫婦になってもずっと「ギシ(技師)」呼ばわりのトリ子は
知的障害のあるヒロインで、
たまにおとなしいときもある野生児といった印象。
取り敢えず騒いどけ暴れとけ、みたいな。
今ほど理解も進んでおらず時代が違うといえばそれまでだが、
同じ知的障害のあるヒロインなら
「岬の兄妹」の和田光沙のほうがずっとずっと上手。

画のアングルがいちいちすごい。
時折挟み込まれる島の生き物もいい。
特にフクロウの目が強かった。
語り部の存在が神話感とムラ感を増幅。
島から逃げた三國と妹を面をかぶった連中が追い、
三國を殺し妹を船に括り付けて放置して島に戻る。
行きと帰りで面は同じなのに違う表情に思えた。

おもしろかったのだが予備知識を入れていたせいで、
鑑賞中ずっと
監督とヒロインがヤリまくりだったんだよな……という
邪念に捕らわれた。

フィルム劣化により途中で色調変化あり。
緑