まや

青春群像のまやのネタバレレビュー・内容・結末

青春群像(1953年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

大人になりきれない大人の男たち5人が田舎町で燻り、働きもせずフラフラする群像物語。

リーダー格で女好きのファウスト、インテリのレオポルド、お姉さんが家を支えるアルベルト、街のミスになる妹を持つ1番若いモラルド、歌の上手いリッカルド。

毎日目的もなくみんなでつるんでダラダラ過ごしている。そんななか、ファウストがモラルドの妹を妊娠させ、結婚することに。

話があるようでなくて、本当にふわふわした日常が描かれていた。特にファウストは本当に女好きで所構わず好みの女性に迫っていくのだが、本当に見てて最低だと思ったし、もっと痛い目を見てほしいと思った。それに伴い、女性の扱いがあまり好きではなかった。男に都合良く消費されていくだけに見えた。(時代によるのかもしれないが)

ただ、5人やそれを囲む人々のキャラクター性がしっかりあるのでそこは見ていて面白かったし、惹きつけられた。

特にモラルドは他の5人とは終始違う雰囲気を醸し出していて、夜眠れなくて1人で散歩して、鉄道で働くのに早起きして出社している少年と話しているシーンの表情がとても良かった。彼だけがこの田舎町ではないどこか遠くに目を向けている感じがした。

だから、最後、誰にも言わずに鉄道に乗って、自分の田舎町に別れを告げるシーンはすごく印象的ですごく好きだった。このシーンを見るためにこの映画を見たいと思えるほど好きだった。少年だけがお別れを言って終わるのもジーンときた。

目的もないけど街を出ていくモラルド。
街を観ながら、寝ているみんなの顔を思い浮かべる表情がとても大人びていてすごく好きだった。唯一大人になったモラルド。
彼の人生が素敵なものになるといいなと願って余韻が残る作品だった。

20歳になって暫くした時に自分はいつ大人になるのだろうと思ったことがあるが、こうやって知らぬ間になってしまう、ならないとと思うよになるものなのだと思った。
まや

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