エアール

題名のない子守唄のエアールのレビュー・感想・評価

題名のない子守唄(2006年製作の映画)
3.8
ただそばにいたい…
そう思うことは罪なのでしょうか?

脚本、演出、芝居、音楽と
自分としては、どれも好みでしたね。

ロシア出身の美人女優さん、クセニア・ラパポルトを主演にむかえ
とある一人の女性の数奇過ぎる人生を、過去の回想シーンを混ぜながら
彼女の視点で描かれている本作。


愛する夫を故郷であるウクライナに残し
北イタリアのトリエステへと
単身でやって来た女性 イレーナ。
彼女はとある目的のためにこの地へとやって来たのである。

金には困っていないイレーナ、
だが彼女は職を探し始める
ーーとある高級アパートの管理人に目をつけられそこの使用人からはじまり、
そしてそのアパートの住人である、ある一家専属の家政婦へと
ーーアダケル貴金属を営む裕福な一家、
夫 ドナートは金細工の工房の経営者、
妻 ヴァレリアはデザインを担当。

仕事第一で家族との時間があまり持てずにいるドナート、
有能だが、気難しいアダケル夫人、
防衛本能に障害を持ち、生傷が絶えない幼い愛娘 テア、
アパートの管理人やアダケル家の元家政婦など、
各々の思惑に翻弄され、時には利用されることもあれば、
逆に彼らをうまく利用することで
アダケル家に近づき、夫人やテアの信頼を次第に勝ち得ていくイレーナ。
だが彼女には、誰にも話せない暗い過去があり、
また夫妻の留守時など、彼らの目を盗んでは”なにか”を探し始める、…。
そうすべては彼女の計画通りであった…、
イレーナがやって来てからなにかと物騒なことが立て続けに起きていることを
夫人が勘付く前までは。


特別な想いと芽生える信頼関係、
逃れられない過去と未来に怯える日々、
受け入れがたい現実、
イレーナを追う男らの影、
哀しい真相、
切ないけれどもラストにほんのり希望の灯りが灯る、
そこがまた良くて、見応えのあるサスペンス・ドラマに仕上がってます。
好みがはっきり分かれる作品かと思うので好きそうな方にはオススメしたい作品ですね。
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