千年女優

戦場にかける橋の千年女優のレビュー・感想・評価

戦場にかける橋(1957年製作の映画)
3.5
く英国の植民地だった東南アジアの地で開戦間もなく日本軍が制圧したビルマ。タイ国境にほど近い日本軍管轄の捕虜収容所に収容される米国海軍中佐で隙を見て脱出を図るシアーズと、最近になって収容された英国軍大佐で所長の斉藤からの指示を拒むニコルソン。泰緬鉄道延長のための橋建設の裏で生じる二人の交錯を描く戦争映画です。

赤狩りでハリウッドブラックリスト入りしていたカール・フォアマンとマイケル・ウィルソンが秘密裏に執筆したピエール・ブールの小説を原作とする脚本を次に『アラビアのロレンス』を手掛けるデヴィッド・リーン監督で映画化した1957年公開の作品で、戦争における個人を描く物語が評価されてオスカーでは作品賞含む七冠に輝きました。

赤狩りの影響下で当事者が関わっていることもあってか戦争を描く物語でも戦争論を語るのではなく、三者三様の信念を持つ日米英の将校の姿を追ってあくまで大局における「個人」にフォーカスします。実話ベースではないためにやや誇張を感じる所はありますが、じっくりとした描写とスケールの大きな撮影で空虚な戦いを捉える一作です。
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